ウェストミンスタースクール研修日記

 

 

国際交流委員会委員長 加藤雅啓

 

 平成15年度海外教育(特別)研究は,昨年度同様,学生に現地の学校で授業を行う体験をさせてあげたいとの理由でオーストラリアのアデレードにあるウェストミンスタースクールを再訪問することとなりました。私は2年連続の学生引率で,初めてづくしの昨年に比べれば余裕のはずであったのですが・・・。

 

9月16日(研修1日目)

 この日は大変な1日でありました。シドニーのJALパック担当者がアデレード行きの便の出発時刻を間違え,予定の便に乗れなかったために5時間弱,シドニー空港で無駄な時間を過ごしてしまいました。ウェストミンスターでのスタートからつまずいてしまい,スタッフ,学生の精神的なショックは計り知れないものがありました。それでも,ウェストミンスターで私たちを暖かく迎えてくれたブライアンさんの姿に気を取り直し,軌道修正しながら第1日目を乗り越えました。

 ウェストミンスターからの帰途,こちらの添乗員(去年と同じ佐藤明子さん)にお願いし,Glenelgの海岸によってもらい,南極に続く海を眺めて学生たちは満足してくれました。皆さん大変疲れていましたので,夕食もアルコールはとらず,去年とは大違いの静かな雰囲気で1日を無事に終えました。

 

9月17日(研修2日目) 

 朝7時50分の集合時間になってもホテルのロビーに集まった学生の数が2人足りません。部屋に電話をしても応答なく,ドアをたたいても返事がありません。8時に出発の予定。8時10分過ぎ,もしかして何か事故でもあったのかと思い,フロントのポータにマスターキーで開けてもらおうとしましたが,内側から鍵がかけられていて開きません。思い切りドアをたたくと,「ファーイー」と間延びした声。目をこすりながら起きてきました。ほっとすると同時に「初日からやってくれるよ!」彼女らを待っていると遅れてしまうので,事務官の秋山さんに後を任せて,15分遅れで出発。

 体育の授業時間の調整で手間取る。それでもウェストミンスターの用意してくれた時間内で収めることで決着。さすがに現職院生さんの柔軟な対応に感謝。今年度新たな試みである書道の授業が3時間目(10:55)に始まる。担当は沖縄出身の現職院生,桃原(とうばる)さん。生徒は小学校2年生。日本の四季の説明や書道の道具の解説に飽きてくる。すかさず硯を見せてその重さを感じてもらい,半紙を取り出して表と裏の感触の違いを手で触れて感じてもらう。生まれ月に応じて春,夏,秋,冬のグループに分かれる。春は「さくら」,夏は「まつり」,秋は「もみじ」,そして冬は「ゆき」のひらがな。お手本を各自に配り,各グループに2人の学生がついて指導。こどもたちは指を墨に染めながら,目を輝かせて用意した紙がなくなるほど熱心に練習する。最後に練習の成果を色紙に書いて,各季節にちなんだ唱歌を聞きながら鑑賞会。2時間通しで90分の授業があっという間に終わりました。出発前に十分に準備時間をかけて練り上げた指導案が見事に実を結んだ大変立派な授業でした。付き添ってくれていた美術のWalker先生もほめてくださいました。ウェストミンスターの子供達も大満足。リーダーの桃原さんはじめ学生さん,お疲れさまでした。

 

9月18日(研修3日目)

 この日は朝の朝礼から始まりました。ウェストミンスター初等部の生徒さんたちとの対面式です。上越からのゲストとして紹介された後,去年も参加した稲葉君(2年生)が代表して英語のスピーチ。「昨年参加して,もう一度皆さんと会いたかったのでウェストミンスターを訪れた。」と心をこめて話してくれました。堂々とした立派なスピーチでした。その後,合唱部の学生5人が「さくら,さくら」を輪唱でご披露し,生徒たちから暖かい拍手を受けました。

 各班に分かれて授業参観の後,いよいよ2回目の授業。私は1班の書道のクラスを担当。今日は6年生。昨日の2年生と違い,わかりは早い。が,それが災いするところもあり,かってに好きなことをし始める生徒もでてきた。このあたり,美術担当のWalker先生がすかさず生徒に注意を与えてくれた。

 学生たちも昨日2年生の授業を担当したことが大きな自信となっている様子。授業の流れもスムーズで,時間通り授業が進む。半紙や墨も残りを気にせず,十分に練習をした後でいよいよ色紙に字を書く。日本の春生まれの生徒は「さくら」と「桃」,夏生まれのグループは「まつり」と「花火」,秋生まれは「もみじ」と「月見」,冬生まれは「ゆき」と「正月」。それぞれの傑作をグループごとに持ち寄り,鑑賞会。生徒たちも大満足の90分でした。担当した桃原さんほか学部生の皆さんの大変立派な授業でした。

 他の班を見学することはできませんでしたが,現職教員の神田さん担当の竹とんぼグループも同じく柴田さん担当のバスケットボールグループもそれぞれ十分な準備のもとに満足のゆく授業ができたようです。子供達の満足した笑顔がすべてを語ってくれます。

 夜はウィンディポイントのレストランでディナー。ブライアンさんがすべて手配してくれ,アデレードの夜景を見ながら3時間かけてゆっくりと食事を楽しみました。ウェストミンスタースクールからは初等部部長夫妻,ブライアン夫妻,初等部教頭,日本語担当で今回の授業計画をとりまとめてくださった亀井先生とサラ先生の7人が出席。この人数から去年よりはるかに力を入れた歓迎ぶりであることをうかがい知ることができます。現職教員を中心とした大学院生向けに3週間程度の長期研修を行うことができるかどうかブライアンさんとつっこんだ話をすることができました。また,ウェストミンスターの生徒が来年玉川学園を訪れる際,上越へも足を延ばし,赤倉の研修施設に泊まりたい旨の非公式の打診を受けました。ウェストミンスターも本気で交流を進めたい感触を感じた晩でした。

以上,ウェストミンスタースクールでの研修を日記としてまとめてみました。

 

 ウェストミンスターでは、先生も生徒たちもみな実に生き生きしており,私たちを見つけると、「コニチワ!」と日本語で声をかけてきます。

 この学校を訪れて最も驚くことは、私たちの要望に応えていとも簡単に授業時間を調整し、担当のクラスをたちどころに割り当ててくれることです。時間が足りないといえば、45分の授業を2コマ続きに変えてくれたり、他学年の生徒にも授業を行いたいといえば、すぐさま応じてくれたりと、こちらが恐縮してしまうくらい素早く対応してくれます。

 このようなflexible(柔軟)な対応は、日本の学校では全く考えられないことです。それではなぜウェストミンスターでは可能なのでしょうか。そのヒントはブライアンさんの言葉と親の姿に見つけることができました。「私たちはいつでもこどもたちがhappyでいるように心がけています。」また、算数を学んでいる教室を参観すると、こどもたちの脇で小さなイスに腰掛け、静かに計算を手伝っている大人がいます。ボランティアで指導補助をしている母親たちでした。

 ウェストミンスターでは、生徒は先生を尊敬し、先生は生徒たちの幸せを願い、そして親は先生を信頼してこどもたちを任せている。生徒・先生・親の間は、いわば「信頼のトライアングル」とでも呼べるような信頼関係が堅く結ばれているのです。この関係が成立してはじめて魅力あるカリキュラムや柔軟な対応が可能になるのだと思います。

 最後に,本年度のオーストラリアでの海外教育(特別)研究が実現するまでに大勢の方々に大変お世話になりました。ウェストミンスタースクール校長Bradley Fenner氏,教頭Brian Ferris氏,及びティーチングスタッフ,渡邉学長,庭野国際交流委員会委員,外国人教師Ms Carolyn Kaltenbach氏,教務課の秋山専門職員、石田留学生・国際交流係長,及び田上留学生主任のみなさまには企画立案から引率に至るまでひとかたならぬお世話になりました。また,神田団長,桃原、稲葉の両副団長,柴田班長のたぐいまれなチームワークでスムーズな研修が可能となりました。紙面をお借りして心から感謝しお礼を申し上げたいと思います。



海外教育(特別)研究

 

国際交流委員会委員 庭野義英

 

 平成15年度の海外教育(特別)研究に参加する人は2003年9月15日(月)19時10分成田新東京国際空港第2ターミナル日本航空Iの41−47番に集合することになっていた。見たことのある顔がいっぱいあった。時間と場所は間違いなし。まずは一安心。オーストラリア行きは今回で2度目だ。シドニーの友達Michell Matthewに会えるかな!時間通りにJAL771便シドニー行きは出発した。所要時間約9時間半。シドニー着。朝だ!オーストラリアは冬のはずなのに外は暖かい。4年前に来たときは空港は工事中だった。今は大変きれいになっている。ここで飛行機を乗り継いでアデレードまで行く。しかし、こんなにのんびりしていていいんだろうか?とふと思った。いいえ、いけなかったのです。現地係員が私達の乗り継ぎ便の出発時間と到着時間を間違えてしまったのです。私達の乗るはずの飛行機は私達をおいていってしまったのです。シドニー空港で3時間も待たされて次の便でアデレードへ行きました。アデレードの空港には2人の現地係員が待っていてくれました。この2人から聞いた話。オーストラリア人はお互いに足を引っ張り合いながら平和に暮らしているんですよ、みんな平和ぼけしていますよ。これを聞いて、日本人とよく似ているなと思いオーストラリア人が一段と好きになったような気がした。予定の乗り継ぎ便に乗れなかったので午後の予定を一部変更して目的のWestminster Schoolへ行くことになった。どんな学校だろう。空港からバスで到着した。きれいな学校だ。キャンパスもきれいだ。子どもたちはもう帰ったのだろうか?さあまもなく活動開始だ。ホテルは台所付きの広い部屋だ。1人ではもったいない。

 9月17日(水)今日は本学の学生がWestminster の子供相手に授業をする日だ。私はバスケットボールの担当になりビデオを撮る係だ。うまいうまい、子供たちは直ぐマスターしてゲームを楽しんでいる。だんだんと学校にも慣れてきた。授業もいくつか参観した。どの子供も礼儀正しく,よく勉強している。最近日本ではこんな子供をあまり見なくなった。オーストラリアはたいていの町は治安はいいという。アデレードの町も歩いたし、おみやげも買った。食事もおいしかった。アデレード最後の日はカンガルー島探訪だ。できるだけ人間が手を加えないようにという考えから自然を守っている。自然を守るということは大変なことだ。ここでは自然な状態のカンガルーやコアラを見ることができた。

また見学に来たいな!と思った。アデレードで加藤先生と秋山さんがとってもよくいろいろなことを処理してくださった。私の出る幕はなかった。私は学生たちと友達していた。ある時私は2人に言った「お二人にみんな仕事をしてもらっていて,私は何もしないで申し訳ありません」すると加藤先生が「それでいいんです。私は両方はできませんから」秋山さんも頷いた。何だ学生と友達していてもよかったんだ。これも大事な仕事らしい。よかった。でも加藤先生、秋山さんほんとにいいんですか。ありがとうございます。

 いよいよ明日はシドニー行きだ。友人にも連絡がつき、会えることになった。9月21日(日)アデレードからシドニーへ移動した。長いと思った旅行もあと明日1日だけだ。加藤先生の許可を得て友人の家にタクシーで行った。かわいらしいお嬢さんが2人いた。夕食後2人がピアノを弾いてくれた。うまい!!最終日は博物館やブルーマウンテンなどのシドニー近郊文化探訪だオーストラリアも大きいな。興味深い国だな。夕方ホテルの近くの聖メリーズ大聖堂で降ろしてもらった。女子学生数人も一緒に来た。私は教会を訪ねるのが好きだ。教会内で少しの時間静かにしていると心が落ち着く。いよいよ明日は日本に帰るのだ、もっと長くいたいな!!また来るぞ。I shall return. の心境なり。たいした大きな問題もなく無事日本へ帰ることが何よりのいい報告になる。明日の夜は日本だ。ラーメン食べたいな!!

 私は自称「アメリカかぶれ」です。アメリカには50回くらい行っています。でも今回のオーストラリア旅行ですっかりオーストラリアが好きになりました。アメリカをやめてオーストラリアにしようかな!! 「オーストラリアかぶれ」になろうかな?また行きたいな!

 

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